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Vol.3為替差損益「見える化」
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輸出入の業績を大きく左右する為替の影響を
可視化するためのチャレンジをご紹介します。

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「為替差損益の見える化に挑戦したいのですが」。出向先であるグループ会社で初めての四半期決算を終えたある日、ミヤオカは上司である出向先の経理ユニット長との業務内容についての話し合いで切り出した。MFMは、会計や経理の領域で専門スキルの高い人材が三井物産グループに出向し、課題解決に取り組む試みを進めており、ミヤオカはその一期生だ。ミヤオカの提案は、MFMで培った知見も活かして我々の課題解決に取り組んでほしいという、経理ユニット長の要望を受けてのことだった。「当時、円相場が大幅に変動していたことで、経営陣や営業部の間で話題に挙がっていたのが為替差損益の分析でした。昨今の為替レート乱高下の影響により売差(利益)だけを見てもタイムリーに正確な採算管理ができない状況でしたが、それは正しい経営判断や営業戦略の立案に支障があることを意味します。為替差損益の分析は営業部でも実施していましたが、会計的要素も強く精度には限界がありました」。




MFMに入社して約10年間、これまで三井物産本店の担当事業部から為替差損益の相談を数多く扱い、採算管理手法にも取り組んだ経験があったミヤオカは、為替差損益の分析手法やロジックの理解には自信があった。「システム面についても、業務を自動化するRPAと呼ばれる技術を用いた業務効率化の経験もありました。それを活かして、為替差損益のデータ分析ツールを構築してみたい。自分ならできるはずだと考えました」。ミヤオカがプロジェクトの推進役となり、ユニット長やチームリーダーと共に検討がスタートした。為替差損益の影響を正しく分析するためには、社内システム内のどのデータを利用し、どのようなロジックで分析して見える化すればよいのか。ミヤオカはロジックを組み立てて、それを他のメンバーと検証していった。さらに、経営陣、営業部、管理部門において分析結果をどのように活用したいのかを、各部署にヒアリングした。




分析結果をひと目でわかる形に落とし込むために、活用したのが『PowerBI』というツール。『PowerBI』はビジネスデータをグラフなどビジュアルの形で表現し、経営者の意思決定をサポートするアプリだ。「実は『PowerBI』についてそれまで学んではいましたが、ゼロから業務へ本格的に導入するのは私も初めてで、試行錯誤を重ねながら一歩ずつ為替差損益分析ツールの構築をしていきました」。ツールの叩き台ができると、実際に利用する経営陣や営業部とミーティングを行い、挙がった意見や要望をツールに反映させて、改善することを繰り返していった。「大事にしたのは、できあがったツールがどのデータを使用し、どのようなロジックやプロセスで分析を行っているのかを、詳細に説明して共有すること。それによって、社内全体に知見を共有して、組織の中で活きた財産にすることができます」。



半年後、試行錯誤の末に為替差損益分析ツールが完成。30分以下の作業時間で為替差損益の分析結果が『Power BI』に表示される仕組みで、完成度も高く大きな達成感があった。「これまで何年もできなかったことが、たった30分の作業で分析可能になった」。経営陣や営業部からは称賛の声が相次いだ。現在では毎月、為替差損益分析データが全社配信されて、経営会議や営業部での採算管理などに活用されている。取り組みが評価されてミヤオカは社内表彰も受けた。この事例を参考に、社内のさまざまな業務に『Power BI』を利用して情報を可視化させようとの動きが活発化し、勉強会を開催してほしいという要望も増えた。「関係者を巻き込みながら、部門間に渡る仕組みを構築していくのには、想像以上の面白さがありました。また、自分が携わっている会計業務が、経営判断に直結しているのを実感し、非常にやりがいを感じています。今後も他の課題の解決に挑戦していきたいと思っています」。

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