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Vol.1約定プロセスプロジェクト

三井物産本体やグループ連結決算の
経理処理要領に
影響を与えた仕事をご紹介します。

MEMBER



約定プロセスを管理するスタッフとして、新事業への投資や新会社の設立、企業のM&Aなどを行っている事業部を受け持つことなったワタナベは、投資案件の中でもICT分野を担当している。AIやクラウドなどの最先端分野への投資案件が多く、社会を変えていくビジネスを扱うことに新鮮な気持ちを抱いて業務に臨んでいた。その中の案件の一つとして、三井物産がある世界的企業との合弁によって、AIを活用したサービス事業を行う新会社を設立することになった。ワタナベはその案件の計上や支払いなどの処理を担当することになった。「新会社設立の案件で相談受けたのは初めてでした。契約書を送ってもらい中身を確認しながら、必要な手続きの流れや用意すべき書類など、基本的な部分は全て相談を受けて、それに対してアドバイスを行っていきました」とワタナベは言う。


ところが、新会社設立前日の9月30日、自分が担当する営業部の帳簿の動きをウォッチしていたワタナベは、新会社設立に関連して、自分が認識しているタイミングと異なる日付で計上処理が行われていることを発見。急きょ営業担当に問い合わせて内容を確認した。すると、新会社を設立するために開設した口座に、すでに有価証券(株式)を取得するための資金を払い込んだため、払込日をもって計上を行ったという。「大丈夫なのだろうか?」とワタナベは疑問を抱いた。普通であれば有価証券を取得した日と、会社の登記日は同じになるはずだった。新会社が設立された日に払込金を帳簿に計上すべきだが、今回のように入金日と登記日が違っていても問題はないのだろうか。日付が違うと、まだ登記される前の会社を三井物産が所有していることになり、開示する決算情報の内容にも影響を与えてしまうのではないか。


今回はマニュアルに明記されていないケースだった。いったいどう処理すべきなのか。ワタナベは上司に状況を説明し、三井物産経理部や経理部経由で会計監査を依頼している監査法人などにも相談した。その場では結論が出ず検討が必要となり、ワタナベは営業担当と三井物産経理部との間に立って、取引確定の期限までギリギリの調整を続けた。その結果、業務の実態に合わせて会計処理を行う必要があり、入金日に関わらず登記日に合わせて計上すべきという結論に至った。「普通とは違う状況に気づいて、疑問に思うことができたから相談ができた。それが重要でした」。ワタナベからの相談をきっかけに、三井物産では単体の経理規程解説集の有価証券処理要領を改定することになり、新会社設立の場合は登記日という書き方に変わった。「これと併せて計上のマニュアル部分も改定することになりました。さらに三井物産単体だけではなくグループの連結会計方針も改定になり、それらの内容を検討する打ち合わせに参加して、意見を述べるチャンスが得られました」。


「自分が抱いた小さな疑問をきっかけに、三井物産グループ全体の規程が改定されるまでに影響を与えることができて、大きな達成感がありましたね」。単に与えられた数字をシステムに入力するのではなく、三井物産のビジネスの根幹と直接関わって、営業活動の決算書を作り上げるのがMFMのミッション。そのために案件を動かす営業担当からの相談にのって、ビジネスの概要や流れを詳しくヒアリングし、その内容をしっかりと自分の中で噛み砕いて理解することが重要だ。その上で事業に合った適切な会計処理を考えたり調べたりして、アドバイスをすることが求められる。「幅広い知見を引き出しとしてもち、あらゆる場合を想定して対応できるように専門性を高めたいです。そして、営業に一番近い場所で経理面のサポートをしながら、信頼して相談されるような存在を目指したいと思っています」。

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